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ニュースリリース

令和5年11月

紫外線による皮膚バリア機能低下を改善する
キハダ樹皮エキスの活性成分を同定

 佐藤製薬株式会社(本社:東京都港区、社長:佐藤誠一)は、キハダ樹皮エキス*1(オウバクエキス)の皮膚タイトジャンクション(TJ)バリア機能に対する作用に関する研究を進め、キハダ樹皮エキスの皮膚TJバリア機能低下改善作用の活性成分が、ベルベリンであることを明らかにいたしました。本成果の一部を皮膚TJに着目した「バリア機能改善剤」として特許出願し、日本国内で特許を取得したことに加え(特許番号:第6535146号)、2023年9月15日付で中国においても特許を取得いたしました(特許番号:ZLL202010026168.5)。

研究の背景及び成果

 皮膚のバリアには大きく分けて角層バリアとTJのバリアが存在しており、外部からの刺激によるダメージや体内からの水分の喪失を防ぐ役割を果たしています。また、紫外線がTJのバリア機能の低下を引き起こすことも報告されています。

 皮膚のバリアの中でも特にTJのバリアに着目し、TJバリア機能を強化する植物エキスを探索した結果、およそ300種類のエキスの中から見出したのがキハダ樹皮エキス(オウバクエキス)です。

 またさらなる解析の結果、キハダ樹皮エキスにはTJバリア機能を強化する作用に加えて、紫外線によるTJバリア機能の低下を改善する作用を見出すとともに、その活性成分がキハダ樹皮エキスの主要成分として知られるベルベリンであることを突き止めました(図1)。
(第35回和漢医薬学会学術大会、第31回国際化粧品技術者会連盟横浜大会2020(The 31th IFSCC Congress 2020 Yokohama)にて発表)

引き続き植物エキスがもつ力を最大限に引き出す方法を追求し、新たに開発するスキンケア製品に活用していく予定です。



※1キハダ樹皮エキス: ミカン科植物であるキハダ(Phellodendron amurense Ruprecht 又は Phellodendron chinense Schneider)の樹皮の乾燥物から抽出したエキス。キハダは第十八改正日本薬局方収載の生薬である黄柏(オウバク)の基原植物としても知られている。

※2TER(Transepidermal Electrical Resistance):表皮の外側と内側の間の電気抵抗値であり、タイトジャンクションの形成に伴い高い抵抗値を示すことから、バリア強度の指標として用いられている。



キハダ樹皮エキスおよびベルベリンが皮膚タイトジャンクションバリア機能の低下を改善

方法 ヒト三次元培養表皮モデルにUVBを照射しTER*2の低下を誘導することでバリア機能低下モデルを作成した。バリア機能低下モデルにキハダ樹皮エキスおよびその主要成分として知られるベルベリンを添加し、バリア機能に与える影響をTERの測定によりそれぞれ評価した。
結果

キハダ樹皮エキス ベルベリン

n=3 or 4, mean + SD, *:p<0.05, **:p<0.01, ***:p<0.001,
vs キハダ樹皮エキス 0 µg/mL or ベルベリン 0 µM Dunnett's multiple comparison test
※キハダ樹皮エキスの濃度は原生薬換算量で記載

図1: UVB誘導性のTERの低下に対する
キハダ樹皮エキスおよび主要成分ベルベリンの作用

UVB誘導性のTERの低下が、キハダ樹皮エキスによって有意に改善した。キハダ樹皮エキス中のベルベリン含量を算出し、対応する濃度で同様に評価したところ、ベルベリンの添加によってもUVB誘導性のTERの低下が有意に改善したことから、ベルベリンが活性成分として寄与している可能性が示唆された。

関連リンク

第35回和漢医薬学会学術大会ニュースリリース
https://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2018/181029/

第31回国際化粧品技術者会連盟横浜大会2020(The 31th IFSCC Congress 2020 Yokohama)ニュースリリース
https://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2020/201210_2/

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