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ニュースリリース

令和4年9月

ゲンノショウコエキスが、I型コラーゲンの構造維持に重要な
フィブロネクチン及びエラスチンの減少を抑制することを学会で報告

 佐藤製薬株式会社(本社:東京都港区、社長:佐藤誠一)は、皮膚機能と生薬についての研究を進め、ゲンノショウコ*1から抽出したエキスが、紫外線によるシワ形成に関わるグランザイムB*2を阻害することで、I型コラーゲンの構造維持に重要なフィブロネクチン*3及びエラスチン*4の減少を抑制することを新たに見出しました。
 なお、本研究成果は、2022年8月27日~8月28日に開催された第39回和漢医薬学会学術大会にて発表し、前回大会に続き2年連続での優秀発表賞の受賞となりました。


研究の背景及び成果

 皮膚の真皮組織において、I型コラーゲンは、皮膚のハリや弾力の形成など健康な皮膚の構造に重要な役割を果たしており、I型コラーゲンの減少はシワ形成の主要な要因として報告されています。一方、I型コラーゲンが弾力のある健康な皮膚を作るときには量だけでなく質(コラーゲンの高次構造)が重要であることが知られており、高次構造の維持には、細胞接着分子であるフィブロネクチンや、弾力線維として知られるエラスチンが重要な役割を果たしています。
 また、グランザイムBは、紫外線などの刺激で増加し、皮膚を構成する様々なタンパク質を分解することが知られています。

 昨年の第38回和漢医薬学会において、約300種の植物エキスのスクリーニングによりグランザイムBを強く阻害するゲンノショウコエキスを見出し、ゲンノショウコエキスが、グランザイムBを阻害することでI型コラーゲンを分解から保護することを報告しました。今回、グランザイムBは、I型コラーゲンの高次構造の維持に重要なフィブロネクチン、エラスチンを減少させること、ゲンノショウコエキスは、フィブロネクチン、エラスチンの減少を抑制することを新たに見出しました(図1)。今回新たに発見したエラスチン、フィブロネクチンの減少抑制効果から、ゲンノショウコエキスはI型コラーゲンの保護効果(量)だけでなく、高次構造の維持(質)にも貢献することが示唆され、シワの改善やハリ・弾力の維持に多面的に働きかけることが期待されます。

 本研究成果については今後、新たに開発するスキンケア製品に活用していく予定です。


図1:ゲンノショウコエキスのⅠ型コラーゲン構造維持作用のイメージ

図1:ゲンノショウコエキスのⅠ型コラーゲン構造維持作用のイメージ


*1 ゲンノショウコ:和漢薬の一種でフウロソウ科の多年草(学名Geranium thunbergii)。「現の証拠」が和名の由来とされており、伝承的に胃腸薬として使用されてきた。第十八改正日本薬局方収載の生薬。

*2 グランザイムB:紫外線などの刺激によって活性化し、様々なタンパク質を分解し、炎症などに関与するタンパク質分解酵素の一種。

*3 フィブロネクチン:細胞接着分子として真皮組織の細胞の接着を促進するタンパク質。I型コラーゲンの線維形成に必須であり、接着分子としてⅠ型コラーゲン構造を支える。

*4 エラスチン:ゴムのように伸び縮みする性質があり、肌に弾力性を与える弾力線維。I型コラーゲン線維を均一に束ね、I型コラーゲン構造を安定化させる。


グランザイムBによるフィブロネクチン、エラスチンの減少とゲンノショウコエキスによる減少抑制作用

方法

通常の表皮細胞またはグランザイムB遺伝子を導入したグランザイムB高発現表皮細胞を上層のトランスウェルに、線維芽細胞を下層の培養プレートに其々播種し、ゲンノショウコエキスを添加し共培養した後、線維芽細胞のフィブロネクチン、エラスチンを免疫染色法にて検出した。

図_トランスウェル共培養試験

結果

図2:ゲンノショウコエキスによるフィブロネクチン、エラスチン減少抑制作用

図2:ゲンノショウコエキスによるフィブロネクチン、エラスチン減少抑制作用

線維芽細胞のフィブロネクチン、エラスチンはグランザイムB高発現表皮細胞との共培養により減少し、その減少はゲンノショウコエキスにより抑制された(図2)。

ゲンノショウコエキスのI型コラーゲン保護効果(2021年に発表)
https://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2021/211001/


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