胸やけ・胃痛・もたれに効く!PPI(プロトンポンプ・インヒビター)ってどんな薬?

胃のトラブルといえば、「胸やけ」「胃痛」「もたれ」などがあります。その原因のひとつが「胃酸」の出すぎです。
そんなときに活躍するのが、PPI(プロトンポンプ・インヒビター、プロトンポンプ阻害薬)というお薬です。

PPIとは?気になる疑問を医師が解説します

PPIは胃酸が出るのを元からブロックして胃酸の出すぎを抑える薬です

監修  木下 芳一 【きのした よしかず】先生

兵庫県立はりま姫路総合医療センター 院長

胃酸ってどうやって作られるの?

胃酸とは、胃の中で分泌される「塩酸(えんさん)」を主成分としたとても強い酸のことです。胃の中には「プロトンポンプ」という小さな装置のようなものがあり、ここから胃酸が分泌されます。このプロトンポンプが働くことで、食べ物を消化するための強い酸が出るのです。

胃酸の分泌は、主に以下のようなタイミングで活発になります。

  • 食べ物が胃に入ってきたとき
  • 食べ物を見たり、おいしそうなにおいを感じたとき
  • たんぱく質を多く含む食事をとったとき

これらの刺激により、脳や神経を通じて胃が「そろそろ消化の準備をしよう」と信号を出し、胃酸が分泌されます。

胃酸の働き(メリット)は?

胃酸の働き(メリット)は?

胃酸には、私たちの健康を守るために、主に「消化」と「防御」に関わる重要な役割があります。

  • 食べ物の消化を助ける
  • 栄養の吸収を助ける
  • 細菌やウイルスを殺菌する

胃酸があるのに、なぜ胃は溶けないの?

胃の粘膜には、粘液(ねんえき)という強力なバリアがあります。この粘液が胃酸に直接ふれないように胃を守るバリアの役目をしています。健康な胃は、この「攻める力(胃酸)」と「守る力(粘液)」のバランスが保たれています。しかし、ストレスや不規則な生活、暴飲暴食などでこのバランスが崩れると、胃の粘膜が傷つき「胸やけ、胃痛、もたれ」などの症状につながることがあります。

プロトンポンプ・インヒビター(PPI)って何をする薬なの?

胃酸の分泌をしっかり抑える薬です。私たちの胃の中では、「プロトンポンプ」という小さな装置が胃酸を作っています。これは胃酸を外に出す最後の出口のようなものです。

このプロトンポンプが働くように指令を出すのが、「ヒスタミン」「ガストリン」「アセチルコリン」といった物質です。これらは、「もっと胃酸を出して!」というスイッチのような役割をしています。これら3つが連携してプロトンポンプを動かし、胃酸が出る仕組みになっています。

PPIは、このプロトンポンプそのものの働きをピタッと止めてしまうことで、胃酸の分泌を元からブロックします。つまりPPIは、胃酸の“元栓”をしめる強力なお薬と言えるのです。

胃酸の分泌を元からブロック図胃酸の分泌を元からブロック図(スマホ)

プロトンポンプ・インヒビター(PPI)はどんな症状に効くの?

どんな特長があるの?

  • 食後に胸が焼けるように感じる
  • 酸っぱいもの(胃酸)がのどに上がってくるように感じる
  • 胃のあたりが痛い
  • みぞおちの辺り(おへそと胸の間)が焼けるように熱く感じる
  • 食後に胃が重苦しく不快に感じる

プロトンポンプ・インヒビター(PPI)には、どんな特長があるの?

  • 胃酸を元から抑えます
  • 1日1回、決まった時間に飲むだけで胃酸の分泌を抑えてくれます。
  • 毎日続けることで、胃酸の分泌をしっかりコントロールして胃の調子を整えてくれます。医師による診察を受けない場合の最大服用期間は2週間です。

プロトンポンプ・インヒビター(PPI)には、どんな薬があるの?

2025年に今まで病院で使われていたPPIの一部(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール等)がスイッチOTC化され、薬剤師のいる薬局やドラッグストアでも購入することができるようになりました。「胸やけ」「胃痛」「もたれ」にお悩みの方は、一度、症状チェックしてみましょう。

胃のお悩み症状チェックページはこちら

プロトンポンプ・インヒビター(PPI)には、注意点はあるの?

注意点はあるの?

市販のPPIは便利ですが、使い方には注意が必要です。

  • 2週間を超えて続けて飲まないようにしましょう
  • 3日間服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談をしましょう。
  • 他の薬との飲み合わせが気になる方は、医師や薬剤師に相談をしましょう。

まとめ

PPIは、「しっかり胃酸をおさえて、症状を根本から改善したい」という方に適した薬です。胸やけや胃痛に悩んでいる方は、一度PPIタイプの市販薬を試してみてはいかがでしょうか?ただし、「持続性の胃痛・腹痛」、「出血を伴うような症状」、「食べ物を飲み込みにくい」、「原因不明の体重減少」などの症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください。

ここまでの内容は、兵庫県立はりま姫路総合医療センター 院長 木下 芳一先生に監修いただきました。

監修  木下 芳一 【きのした よしかず】先生

兵庫県立はりま姫路総合医療センター 院長

1980年神戸大学卒業、87年ミネソタ州メイヨークリニックへ留学(リサーチフェロー)、97年島根医科大学第2内科教授、2002年同大学附属病院光学医療診療部部長、03年島根大学医学部第二内科学教授、2004年島根大学医学部副学部長、07年同大学医学部学部長、12年同大学医学部附属病院副院長、19年製鉄記念広畑病院病院長、20年兵庫県立姫路循環器病センター院長、22年兵庫県立はりま姫路総合医療センター院長

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  • 1日1回1錠 持続性

14日分14錠

*オメプラール®Sに配合されているオメプラゾールは医療用医薬品として世界で初めて承認されたプロトンポンプ・インヒビター(PPI)です。胃酸分泌を担うプロトンポンプを阻害することによりすぐれた酸分泌抑制効果を示します。

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