ニュースリリース

2026年7月

皮膚真皮層でのエラスチン線維の紫外線ダメージ改善に繋がる新知見を
Journal of Investigative Dermatology誌に掲載

 佐藤製薬株式会社(本社:東京都港区、社長:佐藤誠一)は、肌弾力を保つうえで重要なエラスチン*1線維が新たに作り出される過程に着目し、紫外線ダメージによる線維の形成能低下を改善することの有用性を明らかにしました。本研究成果は、皮膚科学分野の国際学術誌「Journal of Investigative Dermatology」に掲載されました。

研究の背景及び成果

 紫外線曝露の影響を長期に受けた光老化*2状態の皮膚では、エラスチンが本来の線維状ではなく塊状の蓄積物として認められます。このような光老化皮膚では、エラスチン線維の分解だけでなく、新たな線維の形成機能の低下も関与していると考えられています。紫外線によるエラスチン線維の減少には、分解酵素エラスターゼ*3の増加による分解促進が関与することが知られていますが、「新たな線維の形成不全」を引き起こす機序はこれまで詳細には明らかにされていませんでした。このような背景から、本研究では、紫外線によるエラスチン線維形成不全の機序について検討しました。

 本研究では、エラスチン線維の形成に必須なファイブリン5*4が、紫外線などにより増加する酵素グランザイムB*5の新規基質になることを見出しました。グランザイムBによって切断されたファイブリン5はエラスチン線維形成能力を失い、この切断が紫外線照射によるエラスチンの線維形成不全の一因になることを明らかにしました。
 さらに、今回の論文では紫外線照射によって増加したグランザイムBの抑制はエラスチン線維の「新たな線維の形成不全」を改善させることを示し、従来のエラスチン分解酵素の抑制だけでは不十分であった肌弾力性低下に対し、光老化改善に寄与しうる新たなアプローチを提案しました。

 これらの研究成果を踏まえハリや弾力性が低下した光老化皮膚状態への理解をより一層深めるとともに、今後も皮膚科学のさらなる発展に貢献してまいります。



図1:紫外線照射によるエラスチン線維形成不全改善作用のイメージ
図1:紫外線照射によるエラスチン線維形成不全改善作用のイメージ



論文情報
Identification of Fibulin-5 as a Granzyme B Substrate Involved in UVB-Induced Elastic Fiber Disruption, J Invest Dermatol, in press. https://doi.org/10.1016/j.jid.2026.06.1275

ファイブリン5がグランザイムBの新規基質になることの同定と機能喪失の検証(国際研究皮膚科学会 ISID2023にて発表)
上記メカニズムが紫外線照射によるエラスチン形成不全に関わることの検証(米国研究皮膚科学会 SID2025にて発表)



※1エラスチン: 皮膚の真皮組織の約2~5%を構成する弾力線維。ゴムのように伸び縮みする性質があり、皮膚のハリや弾力の形成に重要な役割を果たす。

※2光老化: 紫外線ダメージが肌に蓄積することによる皮膚の老化現象。皮膚老化の原因の80%を占め、深いシワやたるみなどの肌悩みを引き起こす。

※3エラスターゼ: エラスチンを直接分解する主要な分解酵素。紫外線などにより増加しシワ形成の原因になる。

※4ファイブリン5: ファイブリンファミリーの一種。細胞接着・遊走やエラスチンの線維形成に関わり、エラスチン線維の構成物質としてもはたらく細胞外マトリックス。ファイブリン5の遺伝子変異は皮膚のたるみを特徴とする皮膚弛緩症の発症の原因になる。

※5グランザイムB: 加齢、紫外線曝露や炎症時に増加し、様々な細胞外マトリックスを分解するタンパク質分解酵素の一種。

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