ニュースリリース
2026年9月
トウヒエキスを含む和漢植物エキスが基底膜関連因子に作用することを確認
活性成分も同定
佐藤製薬株式会社(本社:東京都港区、社長:佐藤誠一)は、皮膚機能と和漢植物の関係を探る研究の一環として、皮膚の構造維持やターンオーバーに重要な役割を果たす基底膜※1に着目した研究を行い、トウヒ(橙皮)エキス※2、チンピ(陳皮)エキス※3およびユズ(柚子)エキス※4が基底膜関連因子の低下を抑制することを見出しました。さらに、これらの作用に関与する活性成分を同定しました。
本研究成果は、2026年8月22日~23日に開催された第43回和漢医薬学会学術大会において発表しました。
研究の背景及び成果
基底膜は表皮と真皮をつなぐ膜状の構造で、皮膚の形状保持や表皮-真皮間の情報伝達などを担っています。近年では、基底膜機能の低下は肌老化の進行に関与すると考えられており、紫外線によるダメージから基底膜を保護することが重要視されています。
本研究では、基底膜の機能に関わるタンパク質「ジストニン※5」に着目し、紫外線によってジストニンの遺伝子発現量が低下することを確認しました。そこで、260種のエキスについてスクリーニングしたところ、トウヒエキス、チンピエキス、およびユズエキスの添加により、この低下が抑制されることが明らかになりました。さらに、エキスに含まれる成分であるシネフリン※6がその作用の一端を担っている可能性も示されました。
これらの結果から、トウヒエキス、チンピエキスおよびユズエキス、ならびにシネフリンは、紫外線によるジストニンの発現低下を抑制し、基底膜機能の維持に寄与することが示唆されました。
本研究成果は、今後新たに開発するスキンケア製品に活用していく予定です。
※1基底膜:表皮と真皮の間に存在する膜状の構造。両者をつなぎ合わせることで、皮膚の形状保持や表皮-真皮間の情報伝達、物質の移動などに関与し、皮膚の恒常性を支える。
※2トウヒエキス:ダイダイの果皮から抽出したエキス。
※3チンピエキス:ウンシュウミカンなどの果皮から抽出したエキス。
※4ユズエキス:ユズの果実から抽出したエキス。
※5ジストニン:表皮細胞と基底膜をつなぐ接着構造「ヘミデスモソーム」を構成するタンパク質のひとつ。基底膜の構造および機能の維持に欠かせない。
※6シネフリン:トウヒなどのミカン科植物を基原とする生薬に含まれる成分。
1. 紫外線(UVB)照射によるジストニン遺伝子およびタンパク質発現の低下誘導
| 方法 | ヒト三次元培養表皮モデルと単層ヒト表皮角化細胞にUVBを照射し、ジストニン遺伝子発現およびタンパク質発現を評価した。 |
|---|---|
| 結果 |
ヒト三次元培養表皮モデル(図1-a)と単層ヒト表皮角化細胞(図1-b)の両方において、UVB照射によりジストニン遺伝子およびタンパク質発現が低下した。 |
2. トウヒエキス、チンピエキスおよびユズエキスのジストニン遺伝子発現低下抑制作用
| 方法 | 単層ヒト表皮角化細胞にUVBを照射し、照射直後からエキスを添加した。添加から16時間後のジストニン遺伝子発現を評価した。 |
|---|---|
| 結果 |
ヒト表皮角化細胞にUVBを照射した結果、ジストニン遺伝子発現の有意な低下が認められた。さらに、トウヒエキス(図2-a)、チンピエキス(図2-b)、およびユズエキス(図2-c)を添加した場合、UVB照射によるジストニン遺伝子発現の低下は有意に抑制された。 |





