爪水虫(爪白癬)ってどんな病気?

監修・写真提供: 埼玉医科大学 皮膚科 教授 常深 祐一郎 先生

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爪水虫(つめみずむし)は、爪白癬(つめはくせん)とも呼ばれる爪の病気です。爪水虫に症状が似ている病気も多いため、見た目だけで判断することはできません。「爪がおかしいな」と思ったら、まずは皮膚科を受診して検査を受けるようにしましょう。

【動画】爪水虫を知っていますか?

この動画では、爪水虫の原因や症状について簡単に説明しています。さらに詳しく知りたい方は、下に読み進めてください。

再生時間:51秒

爪水虫の人はどのくらいいるの?

日本人の10人に1人が爪水虫にかかっているとされています1)

爪水虫は、誰でもかかる身近な感染症です。足におきる水虫(足水虫)と同じ白癬菌(はくせんきん:いわゆる水虫菌)というカビ(真菌:しんきん)の仲間が、足ではなく「爪」に感染することでおこります。

日本人の10人に1人が爪水虫にかかっているとされています イラスト

どうして爪水虫になるの?

爪水虫患者さんの多くは、足水虫を正しく治療しなかったために発症しています。

足水虫を治療しないで放置していたことや、治療を途中でやめてしまうことで、足についている白癬菌が、爪にうつることが主な原因と考えられます。そのため、足水虫の約2人に1人が、爪水虫にかかっているといわれています2)
白癬菌は足から爪へ、爪から足へとうつるため、足水虫と爪水虫を繰り返さないためにも、一緒に治療することが大切です。

白癬菌が爪に感染するまでの経路

足水虫の約2人に1人が爪水虫

どんな人が爪水虫にかかるの?

子どもからお年寄りまで、年齢や性別に関係なく誰でも爪水虫になります。

爪水虫は年配の男性しかかからないと思っている方も多いですが、子どもからお年寄りまで、年齢や性別にかかわらず、誰でもかかる感染症です。爪水虫患者さんは、30~40歳代以降で徐々に増え始め、年齢が上がるにつれて増加していきます。人数は少ないですが、子どもや10~20歳代の若い方もかかります3)。性別は、男性:女性が6:4で、男性だけでなく女性もかかっています1)

爪水虫は環境によっても、なりやすさに違いがあります。「家族が水虫にかかっている方」、「体のどこかが水虫になっている方」、「糖尿病・高血圧の方」などは爪水虫にかかりやすい傾向があります4)

爪水虫との関連性が高い方

家族が水虫にかかっている方 オッズ比5.19、体のどこかが水虫になっている方 オッズ比2.78、糖尿病、高血糖の方 オッズ比1.47、年齢(10歳上がるごとに) オッズ比1.42

*オッズ比と95%信頼区間の下限値が「1より大きい場合」、この項目に該当する方が、該当しない方に比べて病気にかかりやすいことを表しています。オッズ比は数字が大きいほど関連性が高いことを、95%信頼区間は、上限と下限の幅が狭いほど精度が高いことを表しています。

<対象・方法>
全国の皮膚科専門医2,000名に対し、外来受診した患者の中からランダムに20例を抽出して調査票への記入を依頼し、計21,820例(1999年度9,281例、2000年度12,539例)の患者情報を収集した。患者情報は足の疾患、症状などとし、収集した情報から爪水虫のかかりやすさの原因などについて検討した。

渡辺 晋一ほか. 日皮会誌. 111(14); 2101-2112, 2001. 表2より作図

検査や診断する方法は?

削り取った爪の一部に白癬菌がいるか検査し、白癬菌が見つかれば爪水虫と診断されます。

爪水虫の検査は、まず爪の濁っている部分や、症状が出ている爪の一部を、爪切りなどで削り取ります。削り取った爪を顕微鏡で観察して、白癬菌がいるかどうか確認します。白癬菌が見つかった場合に、初めて「爪水虫」と診断されます。
顕微鏡での検査結果は、受けた当日に分かります。また、検査するときに痛みを伴うことは、ほとんどありません。

顕微鏡で観察する方法以外に、採取した爪の一部を培養して(人工的な環境で菌を育てること)、白癬菌がいるかどうかを確認する方法もあります。培養には時間がかかるので、検査結果は数日~数週間後に分かります。

爪水虫の検査方法

その1 採取 爪が濁っている部分など、爪水虫の症状が出ている爪を一部削り取ります。

その2 顕微鏡で確認 採取した爪を顕微鏡で確認します。

その3 診断 顕微鏡で白癬菌が確認できた場合、爪水虫と診断されます。

爪水虫以外に爪の病気はあるの?

爪の病気は爪水虫以外にもたくさんあります。
適切な治療を受けるためにも皮膚科を受診して検査をしてもらいましょう。

爪水虫に見た目が似ている代表的な病気として、爪乾癬(つめかんせん)、爪扁平苔癬(つめへんぺいたいせん)、厚硬爪甲(こうこうそうこう)、爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)などがあります。日々、爪水虫を診ている皮膚科医でも、これらの病気を見た目だけで診断することは難しいです。病気ごとに治療方法は異なるため、きちんと検査をしてもらい、適切な診断・治療を受ける必要があります。

爪水虫写真爪水虫

爪乾癬写真爪乾癬

爪扁平苔癬写真爪扁平苔癬

厚硬爪甲写真厚硬爪甲

爪甲鉤彎症写真爪甲鉤彎症

  • 1) 仲 弥ほか. 日臨皮会誌. 26(1); 27-36, 2009.
  • 2) 渡辺 晋一ほか. 日皮会誌. 111(14); 2101-2112, 2001.
  • 3) 下山 陽也ほか. Med Mycol J. 60(3); 75-82, 2019.
  • 4) 原田 敬之. Med Mycol J. 52(2); 77-95, 2011.

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爪水虫のセルフチェック

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